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速度理論と書いてしまうと、何か特別なものと感じられるかもしれませんが、考え方の基本は単純です。即ち、競走馬の能力を単位時間あたりの移動距離である速度として定義あるいは仮定する事です。速度はm/秒でもm/分でもKm/hrの何れでも構いません。本マニュアルでは原則として時速(Km/hr)を使用します。競馬の世界では速度(時速で60Km/hrあたりになります)を使う事は少し奇異に感じられるとは思いますが、車の性能では最大時速300Km/hrなど常用されています。このスピード感で競馬を考えるだけです。

例えば車ではヘアピンカーブでは速度を落とすとか速度が落ちるとかと言う言葉は使いますが、カーブを曲がるのに時間があるいはタイムが掛かるとは余り(タイムロスは使う事はありますが)と言うか殆ど使いません。一方競馬ではコーナーがきつくてタイムが余計に掛かるとかの表現はよく耳にしますが、速度が落ちるという言い方は車とは反対に殆ど聞きません。車と競馬では速度の感覚が違うようです。多分速度の絶対値と変動幅が違うので、このように分化したものと思われます。車では時速が20Km/hrから300Km/hrと大きく変化しますので時速を使ってもカーレースファンにアピールできるが、競馬では速度が変化すると言っても時速にすれば50Km/hrから70Km/hr程度です。最後の3F(600m)を普通60Km/hrのところを67.5Km/hrのスピードで突っ切りましたと言われても多くの競馬ファンはピンとこないと思います。それより最後の3F(600m)を普通36秒のところ32秒で突っ切りましたと言われた方が驚き納得すると思います。上がりの36秒と32秒の差は、車で言えば制限速度40Km/hrのところを120Km/hrで突っ走る程の差に相当しますが、競走馬の速さを時速表現で60Km/hrと67.5Km/hrにした場合、秒表現ほどインパクトが得られるでしょうか。

しかしながら、移動する物体(競馬の場合、競走馬)を数的に扱う場合はタイムをそのまま使う事は出来ません。運動する物体では最低限速度(単位時間あたりの移動距離)を使う必要が有ります。その必然性を言葉で表現したのが速度理論という事です。

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